災害が来て、避難することになったら、

台風が去った。運よく僕の住む地域は被害が大きくはなかったが、被害に遭われた方々には心よりお見舞いもうしあげます。

もし僕の自宅が損壊して、避難先で地域住民と共同生活を余儀なくされたら、どういう精神状態になるだろう。他人と同じ部屋での共同生活。一応経験はある。ある事情により二週間くらい入院治療していた。入院なので雨風凌げて室温は保たれ、三食にありつけるので不満を言えば『贅沢だ』と叱られる事になるんだろうか。でも耐え難いほど大変だった。

*自己紹介をしなければならない。いや、その義務はないのだが『今日からここに入院しますのでよろしくお願いします』とかは同部屋の先に居た人に当然言うべき。まあこれは理解も納得もできるのでまだまし。問題は、この自己紹介には当然続く展開の方。

 

*まず間違いなく『どうしました(入院理由となった受傷や疾患が何か?ということ)。』という会話が開始され事細かに【事情説明】しなくてはならない羽目になる。

 

*で、相手も自分の事情を説明する羽目になる。このプロセスを経なければ【不愛想な人間嫌い】のレッテルを貼られる。同部屋同士なので当然。

 

*口頭説明できる患者さんなら別段問題ないが高齢者で説明が億劫なのか手間を省きたいのか、自分の病衣をまくり上げて外科的手術の痕跡をみせて『おれぁこれだ』という説明手法をとる高齢者もいる。氣持ちは解るが、手術痕など見せられる相手の立場になって考え……る事ができないからやるのだろう。こちらとしては大変でしたねえとしか言いよう無かろうからそう言う羽目になる。

 

*入院してきた人間を知って親しくしたい…という氣持ちから出た言動なのは解るが、

『おめぇ、どこの人だ?』『どこさ住んでらってや?』『どの辺りや?』『駅の手前か向こうか?』『何番目の角や?』『右っ側か左か?』『家の壁の色は何色や?』と微に入り細に入り質問してくる高齢者がいる。相手が何者かを知るためにその居住区を知る事で状況を共通の話題にしたいとか知り合いの有無を確認したいとか思っているのは重々解るしそれが高齢者の高齢者たる知恵なのだろうが見ず知らずの初対面の人間がいきなり相手の居住地点をピンポイントで教えろと宣う行為が非常識で不氣味で今時なら犯罪行為になるという事は、高齢者ゆえに知らない。

 

*その他は夜に他人のいびきがうるさいとか。それぞれの生活サイクルがまちまちなので自分が静かにして欲しいときに鬱陶しいとか。所々で、やりたくもないよもやま話をしなければならないとか。

とかく『自分がしたいのにしてはいけない』『他人がしてる事は我慢しなければならない』のオンパレードで生きづらい。

 

避難も入院もしないに限る。すくなくともぼくは、鬱が増強するだろうし他の病氣も併発するだろう。